大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月29日 一万円分(1)



日々の恐怖 6月29日 一万円分(1)



 小学校のころに体験した話をする。

小五に進級した春、クラスメイトのKちゃんと同じ図書委員になった。

Kちゃんは本好きな子で、休み時間はいつも何かを読んでいる。

 週に一度、Kちゃんと放課後の図書室で作業する。

貸し出しの受付をしたり返却された本を棚に戻したりと結構忙しい。

最初のころは作業に必要な会話しかしなかったが、徐々に雑談を交わすようになった。

好きな本や先生の話題、ゲームとか漫画の話といったたわいもないこと。

中でもKちゃんが一番多くしたのは妹のSちゃんの話だった。

 Sちゃんは二つ下で、引っ込み思案だけれど笑顔がかわいい明るい子だと言ってい

た。

SちゃんはKちゃんを笑わせるのが大好きらしく、いつも変なことを言ったり驚かせた

りして楽しませてくれるらしい。

ただ身体の具合が悪く、今は学校に通っていないそうだ。



「 へぇ~、俺も一度Kちゃんの妹に会ってみたいな。」

「 いつか家に来てね、M君も絶対仲良くなれるから。」



 夏休みが始まる直前くらいには俺とKちゃんの距離はかなり縮まり、図書室以外でも

会うようになった。

ただ、他のクラスメイトにからかわれるのは嫌だったので、人目に付かない所でしか会

わない。

 放課後、図書委員のない日は学校の近くで待ち合わせて一緒に帰るようになったし、

夏休みには図書館へ行って宿題をやったし、プールや縁日にも行った。

もう俺はKちゃんに夢中で、頭の中はKちゃんのことでいっぱいだった。

まだ告白はしていなかったが俺の好意は通じているだろうし、Kちゃんもたぶん俺のこ

とが好きだったんだと思う。